【ミニマムルールでイノベーションを】
2013年05月09日
ある訪問介護事業所で、施設長から伺った話です。
この事業所では、登録ヘルパー(仕事がある時のみ
自宅から利用者宅に直接出向くヘルパー)の代行依
頼が多く正職員が対応に苦労しています。
登録ヘルパーは、例えば、毎週月曜日の朝7時半から
9時半の○○さんの起床介助に毎週入る、といった具合
に、定期で担当のコマを受け持つ場合が多いです。
この担当のコマを、今週は休ませてほしい、と代行
依頼があると、訪問の調整をしている事務所詰めの
職員が、代行の穴埋め(他に入れるヘルパーを探す
作業)をします。
登録ヘルパーが50名を超える事業所で、ヘルパー1人
あたり月1件の代行申請が出ると、代行の穴埋めにか
なりの労力を割かねばなりません。
冒頭の施設長は、登録ヘルパーの代行依頼を少なくする
のに、トップダウンの規則は作らないのだそうです。
『代行申請をする場合は、前月の○○日までに申し出てく
ださい』、といった文書を施設長名で出せば、手っ取り
早い気がします。
しかし、あえてルールで一線を引くやり方はせずに、事
務所詰めの正職員にどうしたら代行申請が少なくなるの
か考えてもらいます。考えるきっかけを作るために、月
の代行申請が何件あるのか、数値で出させたり、研修の
場を設けたりします。
研修については、講師から一方的に教えられるのではなく、
どうしたら、代行申請を適度の数に抑えて良い業務オペレ
ーションを創っていけるのか話しあう内容です。
話し合いの場づくりや手法は、研修講師の力を借りる、そ
んな方針です。
研修の場で、登録ヘルパーの週間予定の組み方にそもそも
無理はないか、登録ヘルパーへの声かけの仕方を工夫しよう、
など自発的な取り組みがなされるのならば、とても素敵な組織
になりそうです。
実際に現場で起きている課題を通じて、社員の自律行動力を養っ
ていく、とても良いやり方だと共感しました。
成長のスピードが著しい訪問事業所では、登録ヘルパーの代行依頼
をできるだけださないよう、規則をがっちり作っている例がありま
す。また、それは一つのやり方で、経営のために必要なことです。
しかし、長期で見て、訪問介護の仕事の本質に意義を感じて、やる
気が継続する社員を育てるには、トップダウンの規則で縛るやり方
では限界があるように思います。
表題の施設に今後どんな変革が起きるのか、楽しみです。
G.W.の余韻を感じつつ、今日も本当に価値ある仕事を創ってきましょう!
Posted by 前田豊(社会保険労務士) at 09:46│Comments(0)