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福祉サービス事業所職員の働き甲斐Vol5

2012年01月10日

~パート職員の力を引き出す~

福祉サービス事業所の勤務体系の特徴は、パート職員が多く、
しかも、個々のパート職員に自律的な行動が求められること
です。福祉サービスという人を相手にする職業柄、正職員・
パート職員の区別なく、マニュアル化された業務内容を超え
た機転や気配りが必要とされます。

私が昨年まで勤務していた障がい者施設では、職員9名中4
名が扶養の範囲内で働くパート職員でした。

施設サービスの質を向上させていくのに、パート職員の力を
いかに引き出していくかがカギだといつも思っていました。
直接利用者さんに関わる時間は、パート職員の方が圧倒的に
多かったからです。


個々のパート職員は、能力・人生経験ともに豊富で素晴らし
い方たちでした。また、障がい者福祉の仕事を選んで入職す
る時点で、既に仕事に対するモチベーションが高く、正職員
側の希望にも献身的に協力してくれました。


しかし、パート職員は、指示を受けて行動したり集団になる
ことで高い能力は発揮するものの、個別に対応しなければな
らない場面になると発揮能力が半減してしまう課題もありま
した。施設として質の高いサービスを提供するために、与え
られた指示を正確にこなせる以上の、施設の経営理念を理解
しつつ自律行動ができるパート職員をどうしたら育てられる
のか、いつも考えていました。


パート職員の力を引き出したい思いは、多くの施設現場管理者
が感じていることではないでしょうか。


ところで、施設を離れて少し経つ今になって振り返ってみると、
パート職員の勤務ぶりには素晴らしい側面が沢山あることに改
めて気づきました。例えば、
・気持ちが不安定な利用者さんの相談に親身に対応し、利用者
さんの生きがいを支援している人。
・水族館にみんなで行ったときに、「あれ見て、これ見て」と
利用者さんの興味を積極的に引き出そうとする人。
・今までの職務経験を活かして授産品づくりに力を発揮してく
れた人
・元来の明るい性格で施設に元気を与えてくれた人。

考え始めると際限がなく沢山の良い行動例が出てきます。




実は、人事労務の分野で、職員の良い行動を具体的に抽出して、
人事評価項目として積極的に取り入れていくことをコンピテン
シー評価といいます。コンピテンシー(competency)とは、
高い成果を生み出す人の特徴的な行動特性のことです。

世の中小企業では、売上金額など成果重視の評価制度から、
人間性尊重のコンピテンシー評価への移行が注目されています。
数値のみを追う成果主義だけでは、長期に渡って従業員の働き
甲斐を創りだしていくのは難しく、結果、企業も成長できない
ことがわかってきたのです。



福祉サービス事業所は、コンピテンシー(高い成果を生み出す人
の行動特性)に溢れている職場です。特に、パート職員の中には、
高いお金を稼ぐ目的でなく、収入は扶養の範囲内で良いので、福
祉の仕事がしたいという方が大勢います。

これらの方達が発揮しているコンピテンシーを具体化して、ご本人
に還元してあげられれば、施設にとって良いばかりでなく、本人た
ちも自分らの行動に自信をもって、自律行動に繋がったのではないか、
今そのように思っています。
具体化の仕方は、人事評価制度に取り入れることから、紙に書き出し
て貼り出す・配る、月例ミーティングで話し合う・発表するなど、
どの施設でも取り組めることがあります。


施設管理者、フロアリーダーの皆さま、施設職員のコンピテンシー
(良い行動例)について、日ごろから漠然と思っていることがあると
思います。ぜひ、10分時間をとって紙に書いてみてはいかがでしょ
うか。新たな施設運営の可能性が見えてくるかもしれません。


パート職員の力を引き出すヒントについて書かせていただきました。
今いる職員は優れた行動特性をもっています。あとは施設・現場管理者
が、いかに優れた行動特性を具体化して、職員にフィードバックしてい
くかなのです。


ご意見・ご感想等ぜひお寄せください。




  • Posted by 前田豊(社会保険労務士) at 12:43│Comments(0)
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