たまりば

多摩のビジネス・経済 多摩のビジネス・経済昭島市 昭島市

小さな福祉施設のキャリアパス

2014年02月10日

おはようございます。福祉社労士の前田です。



地域の中の小さな福祉施設のキャリアパスについて書かせていただきます。



福祉施設でいうキャリアパスとは、福祉・介護スタッフが将来のキャリアを描きやす
いように、キャリアの段階を描いた図のことです。キャリアに応じて事業所で担うべ
き役割、給与、保有している資格など明示されているため、職員が将来のキャリアを
描いて働きやすいと言う理屈です。キャリアパスをつくってスタッフにきちんと周知
している事業所には、国から加算金も用意されています。



キャリアパスは、福祉・介護で働く人にとって、将来を描く大切なものです。長く働
くには、キャリアパスがあった方が絶対に良いと思います。

でも、国が提唱しているキャリアパスは、福祉・介護スタッフが段階的にキャリアを
積むものであり、スタッフ数も多い大きな施設向けにできています。



キャリアパスをもっと実効的なものにするためには、これからの福祉を担う、地域の
中の小さな福祉施設向けに書き換えるべきだと私は思っています。



小さな福祉施設のキャリアパスは、スタッフが当該施設で働いている間のキャリアを
見るだけでは不足です。働くスタッフの人生を見たキャリアパスが必要です。

人件費にも限りがあり、役職につける人も限られます。兼業、転職を想定にいれた、
実態に即したキャリアパスが必要です。



小さな施設のキャリア形成でポイントは3つあると思っています。

一つは、管理者の役割に応じた手当をしっかりとつけること、

二つは、兼業を可能とする働き方をつくっていくこと、

三つは、転職希望者の支援をしていくこと、  です。



一つずつ見ていきましょう。



管理者の役割に応じた手当について。

小さな福祉施設の管理者の役割は、マネジメントではありません。リーダーシップで
す。

スタッフ数が限られている小さな福祉施設では、スタッフ一人一人が決められた仕事
しかやらないのでは、施設運営できません。パートスタッフを含めた、個々のスタッ
フが適宜自分の判断で動き、必要事項を施設内で共有する必要があります。

そのためには、管理者がスタッフ一人一人の行動を管理していては立ち行かないと
思っています。管理者は施設のありたい姿、目指すサービス(理念)を明確にスタッ
フに示し続ける必要があります。そして、業務を回していく中で、理念に即した仕事
のやり方をスタッフと共につくりあげていく役割が求められるのだと思います。



小さな福祉施設の管理者は、職種を超えた専門技能だと思っています。10万円の管理
者手当が支払われるべき価値のある仕事だと私は考えます。5年間誠実にスタッフと
して勤務を続けたら10万円の管理者手当が支払われるポジションにつくことができ、
それなりの責任(やりがい)をもって福祉・介護の仕事ができる、こんな基準ができ
てこそ、これから先の業界の成長が可能になるのだと思っています。



次に兼業を可能にする働き方について。

ここでいう兼業とは、本人が2つの仕事をもつこと、家族も仕事をもって家庭と仕事
の両立をすること、の2つの意味で使います。年収240〜300万位で、ほぼフルタイム
で働きながら、様々な個人事情も考慮してもらえる働き方です。

兼業が可能になるには何が必要かというと、急に休みたい時に休める、残業・夜勤時
間に制限がある、時には子どもを連れて職場にこられる、通勤時間が短い、などが考
えられると思います。

理論的には、地域の人が地域の施設で働く強みを活かせると考えられます。但し、施
設風土が伴わないと、兼業を可能にする働き方は成り立ちません。

従って、小さな福祉施設のキャリアパスは、運用する楽しさがあるキャリアパスなの
だと思います。管理者の手腕が問われるところです。

管理者(リーダー)を中心に、理念の共有を繰り返し、対話する施設風土づくりが必
要です。小さな福祉施設ならば必ずできると思いますし、実際に実践できている施設
を私は知っています。どの施設でも、本気の取り組みさえあれば、必ず実現できるは
ずです。



三つ目は、転職希望者の支援をしていくこと。

これは、まったくこれから手をつけるところで、理想の話です。

私は、小さな福祉施設は、NPOの形態をとるのが良いのではないか、そして、資本
力のある企業と人事面の交流で結びついていけると良いのではないかと思っていま
す。

現場で3年間程度、誠実に経験を積み、次のステップとして、福祉の現場でなく、ネ
クタイを締めて営業するようなスタイルに憧れがあっても良いと思います。営利企業
でハードに働くけれども、給与もあがる、都心部に出て出張など移動も多い、そんな
スタイルです。

小さな福祉施設であるNPOが、営利企業と手を組むことで、こんな人材交流が可能
になるならば、とても素晴らしいことです。また、逆もありで、営利企業の社員が、
研修の場として、地域の中の小さな福祉施設を活用するのは極めて研修考課が高いと
思っています。

これは、私が福祉の現場にいた経験に基づくもので、当時、社会人の皆さんは個人的
にボランティアとして施設に来て、施設のご利用者と一緒にプログラムをこなしてい
ました。皆さん新鮮な体験をされて、会社生活に戻られていました。

企業−施設間で手を組めるのなら、研修プログラムとして成り立つはず。まだ実践で
きていませんが、必ずニーズがあり、効果もあがるイメージがあります。近い将来必
ず形にしてきます。



3つのポイント共に、機械的にキャリアパスをつくるのでは足りず、施設内でスタッ
フ同士がいかに向き合えるか、にかかっています。



私は、地域の中の小さな福祉施設こそが、真にご利用者のニーズに応え、ご利用者と
働く人の尊厳を保った生き方の場を作ることができると思っています。

小さな福祉施設のキャリアパス、もっともっと明確に、実例を交えて描いていけるよ
う、日々行動していきます。





  • Posted by 前田豊(社会保険労務士) at 10:15│Comments(0)
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    小さな福祉施設のキャリアパス
      コメント(0)